将棋の居飛車におすすめの囲い一覧|特徴・組み方・選び方ガイド

将棋の上達を目指すうえで、序盤に覚えておくべき最重要の考え方が「囲い」です。

どんなに攻めの手筋を身につけても、玉が無防備なままでは相手の攻めに耐えきれず、あっという間に詰まされてしまうことも少なくありません。

特に居飛車戦法は中央や右側が戦場となりやすく、玉が攻めにさらされる場面が多いため、しっかりとした囲いを作ることが欠かせません。

しかし、囲いにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や強み、向いている戦い方があります。

どの囲いを選べばいいのか迷ってしまう方も多いでしょう。

囲い選びを間違えると、守りが薄く攻めきれずに敗れる展開になりがちですが、適切な囲いを選べば、守りに余裕が生まれ、攻めに集中できるようになります。

この記事では、居飛車戦におすすめの囲いを徹底的に解説します。

囲いの役割や重要性をはじめ、代表的な囲いの特徴、戦法との相性、そして初心者におすすめの囲いまで詳しく紹介します。

囲いを知ることで、あなたの居飛車将棋が一段と強くなるはずです。

ぜひ最後まで読んで、守りに強い将棋を身につけてください。

目次

将棋の囲いとは?居飛車での役割と重要性

将棋における「囲い」とは、玉を安全に守るために金や銀、歩などを効率よく配置した守備陣形です。

玉は将棋において最も重要な駒であり、これが詰まされた時点で負けとなります。

そのため、序盤から玉を安全な場所に動かし、守りの陣形を整えることが基本中の基本といえるでしょう。

囲いの基本的な役割

囲いの目的は、ただ玉の周りに駒を置くことではありません。

以下の役割を果たすことで、対局全体の安定感が増します。

  • 玉を戦場から遠ざけ、攻めを受けにくくする
  • 金銀の効率的な配置で駒の力を最大限に発揮する
  • 守りに余裕ができることで攻めに集中できる環境を作る

囲いがしっかりしていると、相手の攻めに対して慌てずに受けられるようになり、ミスを減らせます。

逆に囲いが不十分だと、少しの攻めでも耐えきれずに崩れてしまうケースが目立つでしょう。

居飛車で囲いが重要な理由

居飛車戦法は、玉が戦場に近い側にいることが特徴です。

中央や玉頭が攻めの対象になりやすいため、しっかりした囲いがなければ簡単に崩されてしまいます。

振り飛車戦法では玉が左側に逃げやすいですが、居飛車ではその逃げ道がありません。

だからこそ、中央や玉頭の守りを厚くできる囲いが必要になるのです。

また、持久戦や急戦など相手の戦法によっても適切な囲いは変わってきます。

相手の出方を見ながら選べるようになると、対局が有利に進みやすくなるでしょう。

囲い選びのポイント

囲いを選ぶときは、自分の棋風や相手の戦法に合わせるのが大切です。

以下の3つの観点を意識してみてください。

  • 組みやすさ…初心者なら手順が少ない囲いがおすすめ
  • 戦法との相性…持久戦か急戦かで向いている囲いが異なる
  • 守りと攻めのバランス…どちらに重きを置きたいかを考える

これらを考慮して囲いを決めることで、より安定した序盤が築けます。

将棋の居飛車で使われる代表的な囲い一覧

居飛車で戦う際に選ばれる囲いにはいくつかの定番があります。

それぞれに特徴があり、向いている戦法や局面が異なります。

ここでは、居飛車戦で特によく使われる5つの囲いを紹介し、強みや弱点、向いている人のタイプについて詳しく解説します。

これらの囲いの特徴を知っておくと、相手の戦法や自分の棋風に合わせて最適な囲いを選びやすくなります。

矢倉囲い|持久戦の王道

矢倉囲いは、居飛車戦で最も基本的かつ伝統的な囲いです。

玉を中央寄りに移動させ、金銀を積み重ねて守りを固める形で、特に中央突破を防ぐ力に優れています。

持久戦向きの囲いであり、時間をかけて駒組みしながらじっくり戦うのに適しています。

矢倉囲いは完成までに10手前後かかるため、急戦を仕掛けられると完成前に崩される危険もあります。

しかし、完成した矢倉は非常に堅く、相手の攻めを受けながら反撃する展開が得意です。

項目内容
強み持久戦での堅さ、中央防御力
弱み横や端攻めにやや弱い
向いている人長期戦が得意な人

矢倉囲いは、相手も矢倉を組んできた場合に「相矢倉戦」となり、駆け引きの楽しさが際立つ展開になります。

厚みのある将棋を学びたいなら、まずはこの囲いから始めるのがおすすめです。

エルモ囲い|急戦に強い現代定番

エルモ囲いは、少ない手数で完成する現代的な囲いです。

玉を右側に1マス寄せ、金で横を支えるシンプルな形であり、急戦や早指しにも対応しやすいのが強みです。

7手ほどで完成するので、相手の仕掛けに素早く備えられます。

矢倉よりは堅くありませんが、柔軟性が高く、バランスに優れているのが魅力です。

項目内容
強み組みやすさ、急戦への適応力
弱み持久戦になるとやや脆い
向いている人急戦や早い展開が得意な人

最近ではプロの公式戦でも頻繁に使われるようになり、現代将棋のトレンドのひとつとなっています。

穴熊|最強の守りを誇る

穴熊は、玉を盤の隅まで潜らせ、金銀で完全に固める囲いです。

その堅さは全囲いの中でも最強クラスといわれ、持久戦になればなるほど力を発揮します。

一度完成すれば、多少の攻めでは崩れず、カウンターのチャンスをうかがいやすいです。

一方で、完成するまでに時間がかかり、急戦に弱いのが難点です。

項目内容
強み圧倒的な守備力
弱み完成まで時間がかかり、急戦に弱い
向いている人我慢強く、守備重視の人

じっくりした展開で真価を発揮するため、忍耐力が求められます。

金無双|バランス重視の万能型

金無双は、金銀を左右対称に配置して玉を守る形です。

組みやすく、左右からの攻めに対応しやすいのが特徴で、特に相振り飛車戦に強い囲いとされています。

シンプルながらも意外に崩れにくく、初心者にも扱いやすい囲いです。

項目内容
強み左右のバランスが良い
弱み持久戦や長期戦にはやや不安定
向いている人相振り飛車や柔軟な戦いが得意な人

駒の配置が左右対称で見た目にも美しいので、覚えやすい囲いといえるでしょう。

右玉|柔軟性に富む変化型

右玉は、玉を右側に寄せながらも形を決めず、相手の出方を見て変化する柔軟な囲いです。

状況に応じて矢倉や穴熊に発展させることも可能で、相手が変則戦法を仕掛けてきたときにも対応しやすいのが利点です。

項目内容
強み柔軟性が高く変化に対応しやすい
弱み堅さは矢倉や穴熊に劣る
向いている人奇襲や変則戦が得意な人

柔軟な戦いを好む人にとっては、非常に頼れる囲いでしょう。

以上が、居飛車戦で代表的な5つの囲いです。

それぞれの囲いが持つ個性を理解することで、より自分のスタイルに合った戦いが選べるようになります。

次は、囲いと戦法の相性について詳しく解説していきます。

将棋の居飛車の囲いと戦法の相性を知ろう

囲いにはそれぞれ個性があり、向いている戦法や局面が異なります。

囲いと戦法の組み合わせが合っていないと、せっかく守りを固めても攻めの力が発揮できず、苦しい展開になることもあります。

逆に、戦法に合った囲いを選ぶことができれば、守りと攻めのバランスが取りやすくなり、より勝ちやすい将棋を指せるようになるでしょう。

ここでは、代表的な囲いごとにおすすめの戦法や、戦法別に選びたい囲いについて解説します。

自分が得意とする戦い方や、目指したい戦型に合わせて参考にしてみてください。

矢倉囲い × 棒銀・相矢倉

矢倉囲いは、中央に厚みを作るのが特徴のため、中央突破を狙う戦法と相性が良いです。

その代表例が棒銀戦法です。棒銀戦法は、左銀を玉頭に進めて歩を突き破り、玉頭を攻めるシンプルながら破壊力のある戦い方です。

矢倉の厚みがあるからこそ、棒銀の攻めが成り立ちます。

また、相手も矢倉を選んだ場合には相矢倉戦となり、中央をめぐるじっくりした攻防が展開されます。

相矢倉戦は手順の研究が進んでおり、知識を身につけると力がつきやすいので、居飛車党なら一度は経験しておくと良いでしょう。

矢倉は、持久戦をじっくり戦うのが好きな人に最適です。

エルモ囲い × 急戦・早繰り銀

エルモ囲いは少ない手数で形が整うため、序盤から仕掛けやすい急戦策と好相性です。

例えば、早繰り銀や角交換型の急戦では、相手が駒組みを終える前に攻めるため、守りに時間をかけられません。

そんなときでもエルモなら、最小限の手数で囲いが完成し、すぐに戦いに移れます。

また、相手の出方を見ながら柔軟に戦いたいときにもエルモは有効です。急戦志向の人におすすめの囲いといえるでしょう。

穴熊 × 端攻め・持久戦

穴熊は、守備力に特化した囲いです。そのため、じっくりと駒組みをし、相手の攻めを受け止めてから反撃する戦い方に向いています。

持久戦で力を発揮しやすく、相手の守りが薄くなる中盤以降に、重い一撃で攻め落とす展開を狙います。

特に有力なのが端攻めです。

玉を隅に寄せているため、相手の玉の正面から端を突き破る攻めが決まりやすくなります。時間をかけてじっくり戦いたい人にぴったりです。

金無双 × 相振り飛車・柔軟戦

金無双は、左右対称の構造で守る囲いです。

そのため、相手が振り飛車を選んだときの相振り飛車戦で威力を発揮します。

左右どちらからの攻めにも対応しやすく、柔軟に駒組みを進められます。

一方で持久戦では少し薄いところもあるため、柔軟な対応力を求める局面や、奇襲気味の戦い方をしたいときに向いています。

右玉 × 変則戦法・奇襲戦

右玉は形を決めずに組めるので、相手の出方を見ながら戦うことができます。

特に相手が変則的な戦法や奇襲策を仕掛けてきたときには有効で、どんな展開にも対応しやすいのが魅力です。

右玉から矢倉や穴熊に移行することもできるため、序盤で柔軟に判断したい人に向いています。

奇襲戦や臨機応変な駆け引きが好きな人には、右玉は心強い囲いでしょう。

以上のように、囲いと戦法の相性を理解することで、対局がぐっと指しやすくなります。

自分の得意な攻め筋や局面に合わせて、最適な囲いを選びましょう。

囲いと戦法の組み合わせが噛み合えば、安定した勝ち方ができるようになります。

将棋初心者におすすめの居飛車囲い

囲いには多くの種類がありますが、それぞれに向き不向きがあり、特に初心者にとっては「覚えやすく実戦で使いやすい」ことが大切です。

難しい囲いを選んでしまうと、組み上がる前に攻め込まれたり、手順を間違えて逆に弱くなってしまうこともあります。

初心者が囲いを選ぶときは、まず組みやすさやバランスの良さを重視するとよいでしょう。

ここでは、初心者に特におすすめしたい居飛車の囲いをいくつか紹介し、それぞれの特徴や適性について解説します。

組みやすさで選ぶならエルモ囲い

初心者にまずおすすめしたいのがエルモ囲いです。

理由は、とにかく組みやすいからです。完成までに必要な手数はわずか7手ほどで、しかも形がシンプルなので迷いにくいのが強みです。

囲いの基本を身につける第一歩として、最適といえるでしょう。

エルモ囲いの特徴は、守りながら攻めにも転じやすいバランスの良さにあります。

急戦にも持久戦にも対応しやすいので、初心者が実戦で経験を積むにはぴったりの囲いです。

特徴内容
組みやすさ非常に高い
守りの堅さ中程度
戦法への適応力急戦・持久戦どちらも可
向いているプレイヤー簡単に囲いたい人

まずはこの形を覚えて、囲いを作る習慣をつけるのが重要です。

基本を学ぶなら矢倉囲い

囲いの基本形を学びたいなら、矢倉囲いもおすすめです。

矢倉は持久戦で真価を発揮する王道の囲いで、中央を厚く守る形です。完成までにやや時間がかかるものの、将棋の基礎を学ぶ上で最適な構造です。

矢倉囲いをマスターすると、棒銀や相矢倉戦など、幅広い戦い方が身につきます。

少し難易度は上がりますが、将棋の基本を学びたい人にはぜひ挑戦してほしい囲いです。

特徴内容
組みやすさ普通(手数が多い)
守りの堅さ高い
戦法への適応力持久戦向き
向いているプレイヤー王道を学びたい人

矢倉を覚えることで、将棋の厚みを作る感覚が養われるでしょう。

とにかく固くしたいなら穴熊

守りを重視したいなら、穴熊が有力です。

完成まで時間がかかりますが、完成すれば圧倒的な堅さを誇り、相手の攻めを受け止めることができます。

カウンターを狙う持久戦志向の人に向いています。

ただし、組み上がる前に攻められると不利になりやすいので、初心者が使う場合は、相手が急戦型ではないことを確認してから選ぶとよいでしょう。

特徴内容
組みやすさ難しい(手数が多い)
守りの堅さ非常に高い
戦法への適応力持久戦向き
向いているプレイヤーとにかく固く守りたい人

堅い守りを武器に戦いたい人におすすめです。

左右のバランスを覚えたいなら金無双

金無双は、左右対称に金銀を配置して玉を守る囲いです。

配置がシンプルで覚えやすく、左右からの攻めに対応しやすいのが特徴です。

相振り飛車や奇襲策を使う相手に強く、柔軟な対応が求められる対局で役立ちます。

初心者が最初に左右のバランス感覚を養うのに適した囲いです。

特徴内容
組みやすさ高い
守りの堅さ普通
戦法への適応力相振り飛車に強い
向いているプレイヤー柔軟に戦いたい人

まずは実戦で試してみる

どの囲いも、それぞれ強みと弱みがあります。理論上の強さだけでなく、自分が指しやすいと感じる囲いを実戦で試して選ぶのが一番です。

最初はエルモ囲いや金無双のような簡単な囲いから始め、慣れてきたら矢倉や穴熊に挑戦するとよいでしょう。

初心者のうちは囲いが途中で崩されても構いません。

経験を積むうちに、囲いの組み方やタイミングが自然と身についていきます。

まとめ|将棋の居飛車に合う囲いで勝率を上げよう

ここまで、居飛車戦で使われる囲いの基本や役割、代表的な種類、戦法との相性、初心者におすすめの囲いについて解説してきました。

最後に、これまでの内容を振り返りながら、囲いの選び方と活用のポイントを整理していきます。

囲いの理解が深まると、序盤の不安が減り、より安定した将棋が指せるようになります。

囲いの基本は玉の安全を確保すること

どんなに攻めが強くても、玉が無防備では意味がありません。

囲いを作る最大の目的は、玉が簡単に寄せられないようにすることです。

居飛車戦では玉が戦場に近いため、しっかり守っておかないと中央突破や玉頭攻めに耐えられず、一気に負けてしまうケースも珍しくありません。

囲いを組むことで、玉の安全が確保され、攻めに専念できる状況を作れます。

特に居飛車党にとっては、序盤で囲いを作る習慣をつけることが重要です。

自分の戦い方に合う囲いを選ぶ

囲いにはそれぞれ特徴があります。持久戦向き、急戦向き、柔軟な変化型など、自分のスタイルに合ったものを選ぶのが理想です。

以下に、囲いと適したプレイヤーのタイプをまとめます。

囲い向いている人のタイプ
矢倉持久戦が得意な人、じっくり戦いたい人
エルモ急戦が得意な人、簡単に組みたい人
穴熊守備重視でカウンターを狙いたい人
金無双柔軟に対応したい人、相振り飛車が多い人
右玉奇襲や変則戦が好きな人

自分の性格や棋風に合う囲いを選ぶことで、無理のない戦いがしやすくなります。

初心者は組みやすい囲いから始める

囲いは守りの形であると同時に、攻めとのバランスをとるものでもあります。

初心者のうちは、まず「簡単に組める」ことを優先しましょう。

エルモ囲いや金無双は手順が少なく、形もわかりやすいため、最初の囲いとして最適です。

慣れてきたら矢倉や穴熊のような完成までに時間がかかる囲いにも挑戦して、戦い方の幅を広げていくと良いでしょう。

囲いは実戦の中で磨く

囲いの組み方やタイミングは、実戦経験を重ねることで身につきます。

理論だけでは、相手の仕掛けに対応しきれないこともあります。

実際に指してみて、「このタイミングではまだ組んでいる場合ではない」「ここまで組んだら攻めに移ろう」といった感覚が徐々に養われていきます。

初心者のうちは失敗しても構いません。

何度も実戦で試しながら、自分に合った囲いを見つけていきましょう。

囲いをマスターして強い将棋を目指す

囲いを覚えることは、将棋の土台を作ることにほかなりません。

守りが安定すると、余計な不安がなくなり、攻めるべきタイミングでしっかり攻められるようになります。

これは上達に欠かせない要素です。

ぜひ本記事を参考に、自分に合った囲いを見つけてください。

囲いの習得は、将棋の楽しさを何倍にもしてくれるはずです。

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